ヨガ

東京都スーパーアクティブスクール研究授業

【研究発表】

 

3年間携わった”東京都教育委員会

スーパーアクティブスクール指定校”の研究発表が終わりました。

研究主題は、「心と体をつなぎ、豊かなスポーツライフを築く生徒の育成を目指して」でした。

 

偶然のご縁から、「先生、子どもたちにヨガ教えてくれる?」という

お言葉から始まった”体育におけるヨガ授業”のあり方の模索。

体育、という授業の目的や意図、そして、運動嫌い・体育嫌いな子どもの心の勉強。

多くの学びと周囲のご協力を得て

3年間を経て当日工夫したことを紹介致します。

 

指導案の紹介

 

学校の授業は、全て指導案にまとめられます。

ヨガのレッスンプランと指導案をつき合わせて

何度も何度も検討しました。

実際に行ってみて、子どもたちが楽しめていない、もしくは難しくて取り組めないものは

省いていく作業もしました。

また、この学校では3年目に朝に約2分程度のヨガ呼吸音声を用いて

教室で校内放送を聞きながら「朝ヨガ音声」を行っています。

そのため、当日は、5時間目の直前に「昼ヨガ音声」として、

実際に取り組みをご覧いただきました。

 

 

学習活動・学習内容 指導上の留意点
整列・出欠確認 ○健康観察:けが人の確認;体育係
テーマとルールの確認 ○朝のチェヨガとの違いに注目させる。
呼吸法

・シンプルな呼吸

・太陽と海の呼吸

→胸とお腹を触り、どの部分が変化しているのか、確認する

○これまで行ってきた呼吸法を思い出し、自由に呼吸をさせる。
ウォーミングアップ;座位

・首、肩、手首回し

・猫牛のポーズ、針と糸通しのポーズ、ランジ、下向きの犬のポーズ、門のポーズ

・下向きの犬のポーズではペアになり、タブレットを活用して、背中が伸びていることを確認する

○背中が伸びることを自分で意識させる。

○難易度を3つに分け、自分で選択させ、ポーズに向かわせる。

立位・ペアポーズ

・山、木、ワシのポーズ

・椅子のポーズ

→ペアで行い、仲間と交流する

○ソーシャルスキルの要素を取り入れ、名前と相手の良いところを1つ言わせてから、手をつながせる。

○仲間を信頼することを確認させる。

ヨガ・ゲーム

・「友だちの輪」

→5人組で行う

 

○戦士のポーズの説明と、リラックスすること、協力していくことを各グループを回りながら説明する。
座位・仰向け

・船のポーズ、合席のポーズ

・橋のポーズ

○ペアで行った時との違いを観察させる。
リラクゼーション

・シャバアーサナ

→仰向けになり、呼吸して休む

 

○<心の中の山>というビジュアライゼーションを行う。

振り返り

・胡座

→ゆっくりと起き上がり、深呼吸を3回行う。

・挨拶

○目を開け、背筋を伸ばし、目覚めを促す。

 

タブレットを用いて自分の体を見る=知る

 

下向きの犬のポーズをタブレットを用いて、写真を撮り合いました。

写真を撮ってふざける場面もあるものの、

きちんと背中と腰を伸ばすことに気をつけて何度か挑戦してもらいました。

実際、写真をみることで「こんなに丸いんだ!」「手が変かな?」と

講師が指摘する前に子どもたちが気づいて、やり直していました。

 

スライドによるヨガポーズの説明

 

ヨガポーズをスライドでも紹介して、視覚的な支援も行いました。

子どものたちの様子から

 

  1. スライドで示された完成ポーズを覚える
  2. ヨガ講師の説明を聞く
  3. どこに気をつけるか、自分で選び、挑戦する

 

このような見通しを持って、活動に主体的に向き合う

態度を促すことができました。

 

5人組で挑戦!”友だちの輪”

 

Yoga.edのアクティビティである”友だちの輪”の後では、

押し合うのではなく、程よい強さで支え合うことを

体で感じてもらいました。

そのまま座って休憩した後には、

円になって、船のポーズから花のポーズにチャレンジ。

 

実は、これまではうまくできず諦めていた彼女たち。

手をつなぐことも恥ずかしがり、

その場で寝転ぶ生徒も多くいました。

しかし、この日は「せーの!」と声を合わせ、

長くポーズをキープできるように努力する姿を

見せてくれました。

背中を伸ばすと気持ちが良いということも気づいてもらえたようです。

 

悩んだ道の先に1つの山の頂上=ゴールがある

 

最後のシャバアサナでは、

ピアノのリラックスできる音楽に合わせ、

私から”心の中の山”と、彼女たちに一番はじめにも話した話を、

高校受験に絡めて話しました。

 

「皆さんの心の中には、皆さんしか見えない皆さんだけの心の中の山があります。

今日はどんな色をしていますか?(中略)…受験という山。どう乗り越える?…(略)」

 

話をしている間、彼女たちがまだ1年生の頃の表情を

思い出しました。スクールカウンセラーではない形で

どう心に寄り添うか、悩み、

たった1時間のヨガに何を伝えるのか、と生徒たちにたくさんヒントをもらい

言葉をたくさん選んで、台本を書いて準備してきました。

 

最後のヨガの今回、初めて静かに全員が耳を傾けてくれました。

胸の奥が熱くなるのを感じました。

 

学校風土(雰囲気)によってヨガクラスの目的は異なる

 

中学生の女子にヨガを取り入れるにあたり、

クラスの雰囲気や運動経験、家庭環境など配慮することは実に多くありました。

不登校の生徒や生徒指導上の問題を抱える生徒もヨガをしている時だけは

せめて笑顔になってほしい、とヨガを通じて出会えることを毎回楽しみにしていました。

 

・どんな呼吸法を?

・どんなポーズを?

・どんなペアポーズを?

・グループワークはどうする?

・タブレットを使い、どのポーズを学ばせる?

 

 

この疑問は、各学校の雰囲気や生徒の運動へのモチベーション

筋肉の発達、運動経験によって大きく異なるでしょう。

 

研究授業が、行われた数日後には、東京都立の高校一般入試を控え、

緊張感のある生徒がほとんどでした。

 

「先生、どうしよう。大丈夫なんて思えない。ヤバイ!」と

数名が大声で不安をかき消すように叫んでいました。

多くの人が苦しむ受験という時期に、ヨガの何かが貢献できていたらと願いました。

 

3年間、先生方と積み重ねてきたことが

花開いてくれ、子どもたちが頑張ってくれたことに感謝し、

「先生はみんなからたくさんのことを学びました、ありがとう。

絶対合格しますように」と最後に心を込めて挨拶しました。

 

研究授業・講演後のご感想

 

この研究がスタートし、全ての先生が「ヨガ」に対して

肯定的ではありませんでした。”瞑想させる?”、”宗教では?”という

ご意見もあり、先生向けの研修の資料も何度も作り直しました。

一方で、「ヨガって気持ちいいですね」「これはまたやりたい」と

肯定的な意見もありました。

学校の授業で行うということは、前後に国語や数学など

別の教科があるということです。

あまりにも、生徒たちがリラックスしすぎると、

「次の授業眠くなる」と不満を漏らすことも多くありました。

指導案の書き方、研究授業の講演など

スクールカウンセラーでは滅多に経験できないことができ、仲間に入れてもらえたことに

嬉しい3年間でした。

東京都の指導主事には、スクールカウンセラーの

お仕事をしていることに驚かれましたが、

学習指導要領にのっとって指導案を書いたので

好評でした。また、朝ヨガ音声はとても気軽さがウケていて、

体育朝会の代わりや学級経営にも活用できるのではと

感想を頂戴しました。

 

最後に

「ヨガとは何か」「ヨガの形」をずっと9年間模索している中で感じ、

学べた3年間は濃厚であり、このご縁に感謝しています。

同じ想いで活躍される方の何か参考になれば嬉しいです。

届けたいこと

 

 

唯一無二の「自分」に出会う

一生懸命生きてきたはずなのに、ふと無力感に追われる・・

こんなになんで忙しいんだろう?と疑問に思う・・・

 

教育の現場で長く働いていると、そういう気持ちを持つ<先生>に出会うことがありました

また、子育てに悩む保護者の方々が、”自分らしい人生”を送れていないことにも気づきました

 

専門知識を深めて、仕事にも自分の人生を豊かにすることにもつながるための

講座と相談をcandrika promovel では広げています

 

臨床心理士・公認心理師・ヨガ講師(RYT500およびキッズヨガ 、MBSR、アンガーマネジメントなど多数の研修資格を取得)の太田千瑞が

自由自在に生き抜く方法を皆様へお届けします