起立性調節障害の子どもへの支援
我が子や担当している子どもが病院を受診したところ
起立性調節障害と診断をされた・・・
さて、その後はどのような支援が有効なのでしょうか?
<起立性調節障害についてはこちらから>
子どもを取り巻く大人は焦る気持ちが大きくなってきます
また、子ども自身も言葉にできない不安が大きくなってくると思います。
本記事では、次の3つの柱という観点から
「起立性調節障害」への支援を検討していきたいと考えます
起立性調節障害の支援の3つの柱

①心をケアして整える
②生活リズムを整える
③適度な運動をし、体を整える
この3つについて、説明していきます
①心をケアして整える
朝、起きられず、欠席が続き、学校の友だちとも疎遠になり…
親子関係も悪化…ともなれば
誰でも「これからどうしよう」と悩み、
深刻になれば、人生に絶望し、未来なんてないと思ってしまい、
どこからどう抜け出してよいか、悪循環になります
しかも、受験生の学年であれば、
「高校にいけるのだろうか?」
「そもそも行ける高校はないのではないか」と大きな不安となります
これに対して、
保護者、担任やスクールカウンセラーなど、大人はどういう対応をしたら良いのでしょうか?
「しっかり体調に合わせて休みなさい」など、
多くの方が、子どもの気持ちを理解して、
優しく声をかけてくれることが多いと思いますが、
子どもたちは、
その言葉さえ信じられなくなり、深く悩んでいきます
「本当はサボりだと思われている」
「学校に来ない方が迷惑かけないからいいんだろう」
<自分を否定する発言>が出てきた場合、
筆者が心がけていたことは、「症状は一生続くものではない」と
伝えることでした
子どもにとっての1年、2年は本当に貴重なものです
焦る気持ちも多くありますが、「きっと大丈夫、よくなる」と
おまじないのように話していました
支援する側が、過度な心配をするよりも、前向きになれる言葉や
趣味を一緒に見つけるスタンスを大切にすることはいかがでしょうか
子どもは、大きな孤独感を持っています
体調にはアップダウンがあるため、体調が良くて
友だちと外出できることもあるでしょう
しかし、その時に保護者や家族から「なんでこういう時は起きれるの?」と
言われてしまうと、”わかってもらえなさ”が増大します。
支援する側は、一喜一憂せず、一定で安定した反応も重要です。
大変難しいことですが、
子どもが嬉しいと思った分だけ、悲しいと思った分だけ、
それを感じ取って、ただそこに存在してみましょう
例えるならば、”心”で話や気持ちを聴く・・・
そんなところでしょうか
その時に必要な態度は、好奇心をもつことと、<真っさらな心>を示すことです。
※保護者への支援と子どもへの支援は異なります
それについては別記事にて触れます
②生活リズムを整える
生活リズムを整えることの重要性は、誰もが知るところでしょう。
保護者の方は、あの手この手で毎朝、子どもたちを
起こしていますから、これ以上、
”朝日を浴びて目覚めを促す”という基礎的なことを
いうわけが・・・あるのです。
基礎的なことで、誰もが知ることですが、だからこそ大切。
朝の光を浴びさせることを、支援の1つに取り入れてみましょう
ここで大切なのは、目的を”朝日を浴びて目覚めを促す”に留めることです
多くの場合、「なんで起きないの、そろそろ起きて」という
ネガティブな言葉や
「もう〜時だよ、起きて」など
子どもを急かす言葉が
あるため、多くの場合、子どもたちは、
「カーテン閉めて」「部屋から出て行って」という
保護者の行動を止めるような言葉を発します
子どもの部屋に入り、カーテンを開けて日光を浴びせるときには、
シンプルに、
「朝なので、カーテン開けます」
「体調を良くするために日の光を浴びましょう」とだけ
伝えましょう
そして、寝転がったままの子どもとおしゃべりすることが良いでしょう
どんな話でもOK
「夢は見た?変な夢じゃなかった?」
「今日は暑いみたいだよ、さて何度でしょう?」
「朝ごはんはクロワッサンです、しかもチョコレートがけ!」
と、<朝起きれないことや今日の予定に関係ないことから話題を切り出します>
朝の忙しい時間帯に、ワサワサした気持ちで、ポジティブな声かけをすることは
悟りを開く必要があるかもしれません
そういう時には、カウンセラーにどのような声かけが良いか、
台本作りを手伝ってもらいましょう
そのまま女優魂と根性を見せて、台本通りすれば良いのです
そこから自然に言葉が生まれてくるまで、練習です
そして、夜は何時くらいに寝る、というルールを子どもとともに決めて
ある程度TVや動画、スマホも管理しながら
寝つけなくても横になって目を瞑るように進めます
③適度な運動をし、体を整える
神経調節性失神は、
さまざまな誘因で交感神経と副交感神経(迷走神経)のバランスが悪くなり、
交感神経抑制と迷走神経緊張が起こることで、
血圧が低下したり、脈が遅くなったり、あるいは両者が起こって失神に至ります。
バランスが崩れる理由は、多岐にわたり、その理由探しをするのは
支援を考えるにあたって、遠回りであると筆者は考えます。
そこで、お伝えしたい体の整え方は、2つ。
チルトトレーニングとヨガです。
チルトトレーニングについてはこちら<起立性調節障害への配慮を考える② >から。
ここでは、ヨガについてオススメします。
◯片鼻呼吸法:「イラスト版子どもの発達サポートヨガ」 36ページ参照のこと
◯仰向けでできるヨガポーズ:
足を頭よりあげると血圧が安定しやすくなります
足首回しから始め、片足ずつ天井方向に向けて、自転車を漕ぐような脚の動きを
していくのも良いでしょう
その後、仰向けの鳩のポーズを行ったり

ねじりのポーズを行うこともオススメです
調子が悪い時は、学校や病院に赴くことができません
ベッドの上でできることをたくさん試みてみましょう
また、いつでもできる”ヨガの呼吸”もオススメです
最後に・・・
本記事は、筆者の経験とほんの少しの知識からまとめたものです
3つの柱を整えることが大切だと考えています
子どもの対応方法は、千差万別であり、エビデンスのありなしに
関わらず、選択肢の1つとしてご理解いただければ幸いです。
主治医のご判断、かかりつけ医、担当カウンセラーのご意見とともに
お子様がより良い方向へ進むことを祈っております
(自律訓練法も効果的な方法の1つとされています)
(体位性頻脈症候群などについての説明の詳細はこちらを参照してください)
(専門的な知識を深めたい方はガイドラインを参照してください)
起立性調節障害のお子様への支援としての
ヨガやカウンセリングのあり方の相談に応じます。
保護者の方、学校の先生方、スクールカウンセラーの方のご相談をお受けしております。
ご登録の上、お問い合わせください。

<引用書籍>

唯一無二の「自分」に出会う
一生懸命生きてきたはずなのに、ふと無力感に追われる・・
こんなになんで忙しいんだろう?と疑問に思う・・・
教育の現場で長く働いていると、そういう気持ちを持つ<先生>に出会うことがありました
また、子育てに悩む保護者の方々が、”自分らしい人生”を送れていないことにも気づきました
専門知識を深めて、仕事にも自分の人生を豊かにすることにもつながるための
講座と相談をcandrika promovel では広げています
臨床心理士・公認心理師・ヨガ講師(RYT500およびキッズヨガ 、MBSR、アンガーマネジメントなど多数の研修資格を取得)の太田千瑞が
自由自在に生き抜く方法を皆様へお届けします